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SHIMOTSUKE QUEST

まちづくりトーク&交流イベント 
ローカルアクションはじめませんか?

しもつけクエスト STAGE01 レポート

下野から始まる冒険

まちづくりマスターが語る
地域づくりの「はじめ方」

よくきたな、わかものよ。
さあ、まちづくりをはじめよう。

下野市を中心に地域を盛り上げ、まちの暮らしを楽しんでいる「先輩実践者」が、創意工夫のある取り組みや、まちの魅力を語る「しもつけクエスト」の初回が、2019年12月2日、下野市役所で開かれ、約40人の方が参加しました。

主催する下野市役所の相馬秀紀さん(35/横浜市出身)は今回の狙いについて、「地域に『本気(マジ)』な人を増やしたい」と呼びかけました。国が進める観光でもなく定住でもない関係人口の創出に向け、参加者同士がフラットな関係を築き、その関係をきっかけに地域の中でワクワクできる場所が広がれば、地域内外で何かおもしろいことができるのではないか−−。まちづくりマスターと共に下野市と関わり合いながら「地域内の人材の育成」と「地域外のファンの育成」を目指しています。

 今回は、(一社)シモツケクリエイティブの代表理事で、ローカルプロデューサーの山口貴明さん(43)と、農家の上野将さん(25)、那須塩原市でゲストハウス運営と移住コーディネーターの二足のわらじを履く豊田彩乃さん(28)が登壇し、「はじまり」をテーマにそれぞれの取り組みなどを紹介しました。

白板を使いながら熱っぽく発表する山口さん

自分の”楽しい”が、
この地域で完結できる場を作る

口火を切ったのは、(一社)シモツケクリエイティブの山口貴明さん(下野市下古山出身)。山口さんは普段、注文住宅や個人経営の飲食店などを設計する一級建築士事務所の代表を務めています。その仕事の傍ら、ハンドクラフトのワークショップや地元飲食店の料理が並ぶ「しもつけマーケット」に関わっています。こうした事業を横展開させたまちづくり会社「一般社団法人シモツケクリエイティブ」を2017年に仲間たちと立ち上げ、下野市内にある古民家カフェや公園の管理などを行なっています。

下野市を拠点に精力的に活動する山口さんの動機は何か。それは、「この街に住んで、この街で仕事をして、そして遊べたら、有限な時間を無駄なく使える。そんな自分の理想に近づけたいと思ったから」と言います。山口さんにとって、この理想を実現するには、この街で過ごすことが好きで、この街が好きな人を見つけることが不可欠でした。その手法としてあったのが、先のシモツケクリエイティブや、しもつけマーケットだったのです。

山口さんはさらに続けます。「例えば、”自分が何をしたいか”、まではみんなは無意識に実現できている。でも、自分の行動が、地域にどのような影響を与えていくか、にまでは考えが及んでいないことが多い。この視点をみんなが持ちながら日々の生活を送れば、もっと面白い変化が生まれるはずだし、その変化は加速するはず」。

自分の行動とその影響をマクロの視点から捉え直すことで変化を生んでいく考え方に同意したのか、会場では頷く姿が多くみられました。

「誰かがやってくれるのではなく、自分が先導し、そして扇動する。そうすればきっと面白いことができると思う」と呼びかけ、「気軽に『タカさん』と呼んでください」と締めくくりました。

茶髪でやんちゃな印象だが、実直な言葉を重ねる

「農業が好き」パッションと
好奇心で
地域と関わる

「農業が好きで好きで、そして自分は、好奇心の固まりなんです」。続く二人目は、農家の上野将さん(下野市上川島出身)。実家の農業を継ぎ、米や小麦など広大な土地を活用して生産する土地利用型農業に取り組んでいます。

「地域づくりには興味がなかった。でも、参加してみると、アットホームな楽しさがあった」。漠然と農業を志す気持ちから、東京農業大学経済学部に進学し、卒業後に本場の大規模農業を見ようと、持ち前の行動力でアメリカへ。どこまでも続く地平線と農場に足がすくみながらも、参加した農業研修プログラムを通して現地の農場で働き、まさに「本場を肌で体感」しました。

帰国後は、先代から続く家業を継ぎ、土地利用型農業を展開しています。

上野さんが地域と関わるきっかけは「吉田村まつり」でした。この祭りは、下野市吉田地区にある大谷石の石蔵を舞台に、音楽を流しながら地域の仲間たちが気兼ねなく、酒と会話を酌み交わすもので、上野さんは「農家の仲間だけじゃなく、市役所の人や経営者、主婦など多くの人と触れ合うことのできるアットホームなイベントだった」と、虜になった理由を話してくれました。

また、この祭りの実行委員会の中で、2019年から都市居住者が余暇として農村の暮らしを疑似体験するアグリツーリズムを行うこととなりました。

上野さんも参加した実行委員会による研修旅行先は、イタリア。アグリツーリズムを実践する村々を渡り歩き、そこに根付くPassion(情熱)に出会いました。「ある村では、自分たちの村と農作物に誇りと情熱を持って取り組んでいる。このPassion(情熱)こそが、日本でアグリツーリズムを成功させるために不可欠なものだ」。

帰国した上野さんは、早速、ナスの収穫体験や収穫作物をふんだんに使ったBBQ企画に農家として参加。「人手が足りない上に、都会からくる人をおもてなししないといけない。仲間に連絡しようにも伝達ミスもあって課題が山積している」と苦労をにじませながらも、「自分たちで作った作物を『美味しい』と言いながら食べてもらうことがこんなに幸せだったなんて」と緩む頬に、会場にも笑みが広がっていました。

「アグリツーリズムをやりきった達成感に加えて、参加者の笑顔がまたやりたい気持ちを駆り立てます。次はシイタケの栽培体験とかがいいかな」。胸に火を宿す上野さんの次なる目標は、「農業が大好きな気持ちを忘れない。そして自分の大好きな農業が、人と繋がっていける場を作っていければ嬉しい」と意気込みました。

穏やかな口調で話す豊田さん

対面して生まれた関係
が続くことこそ、

地域活性化

最後のトーカーは、豊田彩乃さん(埼玉県草加市出身)
立教大学社会学部時代からボランティアで日本一周したり、海外を旅したりする中で、ローカルの良さを実感。在学中に地域おこし協力隊として、現在も働く那須塩原市に赴任し、外国人観光客を呼び込むために海外の人気ブロガーを那須塩原市に招く事業に携わるなど、既存の型に捉われない手法を経験してきました。

そんな破天荒ガールは現在、移住定住コーディネーターとして、自治体の紹介や移住促進セミナーを開催するほか、那須塩原市で様々なことに取り組み、トライしている方々を紹介するラジオに関わるなど、地域内外に情報発信を行っています。

この仕事とは別に、彼女が取り組むのが、ゲストハウス「街音(まちね)」の運営です。保養地として栄えた那須塩原には滞在のための旅館はあるものの、より身軽に金銭的負担が少ない中で宿泊することのできるゲストハウスは、多くありませんでした。

豊田さんは、これまで自身が築いてきた関係から、DIYスキルや、建築工具を持つ仲間の協力を得て、黒磯駅から徒歩3分の場所に2018年6月、この宿をオープン。1階スペースは地元のNPO法人が運営するコワーキングスペースで、2階が宿泊スペースとなる運営体制を敷いています。現在まで東京都内のほか日本全国から訪れたゲストたちに利用してもらっていて、野菜を収穫してそのまま調理し食べる「カレーを作って食べる会」や、栃木県内にある酒蔵の日本酒を全て集めるイベントを共同開催したりと、継続的に人を集める工夫を凝らしていました。

豊田さんは、「地元の人と関わりながら、さらに外部の人とも関わりを持ち続ける。地域活性化は単純なお祭り騒ぎではなくて、一人一人と対面しながら関係を作っていくことが、地域活性化のはず」と力強く話しました。

三者三様のトークを聞いた後は、立食タイム。先輩実践者に詳細な話を伺いに行く人や、参加者同士で会話に花を咲かせる人など、想い想いの時間を過ごしていました。

参加者の生井康士さんは、「聞いていて今まで知らなかったことも聞けた」と満足した様子。同じく参加者の上野岳美さんは、「行政が主催のイベントだったが、行政主体ではなく下野市のカラーが出ていて面白かった。次回も参加してみたい」と次回のイベントを心待ちにしているようでした。

いかがだったでしょうか?
まちづくりを「はじめる」には、動機は色々あれど、自らがリーダーシップを発揮していく方法や、イベントに参加してみて夢中になる方法、そして自分を中心に人と出会いながら徐々に街と関わっていく方法の3つの「はじめかた」が紹介されました。

このイベントのMCを務めたNPO法人とちぎユースサポーターズネットワークの古河大輔さん(39/小山市出身)は、「クエストはまだまだ始まったばかりで、今後もテーマを変えて続けていく」と話し、「このイベントが、仲間を求める人たちが集まり、出会い、そして広がっていく場にしていきたい」と呼びかけていました。

次回は、地域のひととリソースをつなぐコーディネーターについて学ぶ時間を予定しています。魅力的なまちづくりのためには、あなたの活躍が不可欠です。地域の魅力を上げるクエストに一歩踏み出してみませんか。

記事を書いたひと

高田 浩平(たかだこうへい)

1993年生まれ。下野市出身。小学6年から中学2年までのタイ生活中にクーデターを経験し、タイと日本の情報格差を肌で感じたことから記者を目指すようになる。得意なジャンルは、地域創生、関係人口、教育、福祉。海外旅行と麻婆豆腐に目がない。

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